新型コロナウイルスについて調べたこと、考えたこと

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関沢 洋一
上席研究員

中国の武漢で2019年12月に始まったコロナウイルスによる感染症(以下では「新型感染症」が中国内で広まり、世界的にも多くの人々を不安に陥れている。このコラムでは、いくつかの医学論文に紹介されていることの概要を伝えるとともに、これらの論文を踏まえて私なりに考えたことを述べることとした。

1.NEJMのcorrespondence(1月30日付)

NEJM(New England Journal of Medicine)という医学誌に掲載された報告(英語ではcorrespondence。以下ではNEJM報告)では、上海からドイツのミュンヘンにやってきた人がどのように新型感染症をうつしたかをケーススタディで伝えている(図1)。

図1:ドイツにおける新型感染症のケーススタディ
図1:ドイツにおける新型感染症のケーススタディ
Rothe C et al. N Engl J Med. 2020 Jan 30;Epub ahead of print. Copyright©2020 Massachusetts Medical Society. All rights reserved.
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一番上の上海の住民である発端となった患者(index patient)が1月19日にミュンヘンに来て、ビジネスミーティングに出席し、そこには患者1と2が出席していた。この時点では発端となった患者には症状がなかったが、中国に帰国した後に症状がでて、新型感染症の検査であるPCRが陽性になった。これを契機にドイツ内での調査がはじまった。

数日後に患者1と2に症状がでてPCRが陽性になった。また、患者3と4の2人は、発端となった患者との接触がなくて、患者1とだけ接触があったが、その後症状がでて、PCRが陽性になった。患者3と4が患者1と接触したのは患者1に症状がない時点だった。

以上の点から、NEJM報告の著者は症状がない人が潜伏期間中に新型感染症をうつしたようだと指摘している。NEJM報告の時点では4人とも症状は軽いとされる。

2.LANCETのarticle(1月31日付)

LANCETという医学誌に掲載された論文(以下ではLANCET論文)では、1月28日までの利用可能なデータを使って中国内の新型感染症にかかった人数を推測するとともに、今後の推移を予測している[2]。

武漢における1月25日時点での感染者数の推定値は75815名(95%信用区間が37304名から130330名)となっている。感染者数が2倍になる時間は6.4日(95%信用区間が5.8から7.1日)となっている。ベースラインシナリオでは中国各地における感染者数は、重慶が461名、北京が113名、上海が98名、広州が111名、深センが80名と推定している。一定の仮定の下ではあるものの、中国の複数の主要都市ではすでに指数関数的に増加しており、武漢とのタイムラグは1~2週間となっている。

この論文では今後の中国国内における新型感染症の推移を予測している(図2)。新型感染症の伝播性に変化がない場合、武漢における感染のピークは本年4月で、他の主要都市では1~2週間遅れると推計されている。もしも伝播性が25%減ると感染のピークは後ろに1カ月ずれるとされている。もしも伝播性が50%減れば感染のピークは図に掲載されている時期(2020年7月1日まで)には現れず、上昇率も緩やかになるとされる。この論文の著者は、武漢閉鎖の効果は小さく、新型感染症はすでに中国の主要都市に広まっており、2020年の上半期に中国や他の国々で新型感染症が流行するリスクにさらされるだろうと書いている。

図2:中国における新型感染症の発生数の予測
図2:中国における新型感染症の発生数の予測
(出典)Wu et al.[2]

LANCET論文の考察(Discussion)の部分では、今後の対策について触れていて、新型感染症の流行を防ぐためには、人と人の間の接触を防ぐための強力な対策が必要だと書いてあり、例として、集会のキャンセル、学校閉鎖、在宅勤務が挙げられている。

3.私見

NEJM報告では問題となったミーティングに何人参加したかが書いていないので(つまり分母が分からないので)確実なことは言えないが、今まで思っていたよりも新型感染症は容易にうつるという印象を受けた。また、LANCET論文からは、強力な水際対策を講じたとしても、コントロールできないレベルで新型感染症が日本に流入することは避けられないという印象を受けた。以下では3つの点について考察した。

(1)水際対策は意味がないのか?

近い将来に新型感染症が日本に本格的に流入する場合、水際対策はあたかも失敗だったかのように見えるかもしれない。因果関係の把握は難しく、ある政策を行った場合にはそれを行わなかった場合の効果は直接的には分からないので(「因果推論の根本問題」と呼ばれる [3])、数カ月後には水際対策は無駄だったと批判されることになるかもしれない。ただ、これはおそらく真実ではなく、水際対策が新型感染症の進行を遅らせれば、何らの対策をとらなかった場合よりも被害は少ないと考えられる(このことは後世の研究者が明らかにするだろう)。2018年のスペイン風邪の際にはほとんどの国々で蔓延を止められなかったが、それでも早い段階から対策を講じた国や地域では被害が少なかったことが指摘されている[4, 5]。

(2)季節性の問題

新型感染症の国内における感染の進行を遅らせることのメリットとして、1つは全貌が見えてきたり治療法が明らかになってきたりすることがある。もう1つ明確な根拠はないが、この感染症に季節性があるかもしれないという見通しがある。このことを私が意識したのは2月3日のテレビ番組で白鴎大学の岡田晴恵特任教授がこの点を指摘したときだ。

LANCET論文では季節性の問題は認識しているものの、シミュレーションでは考慮していないようで、著者自ら、この論文の限界として、インフルエンザに類似した強い季節性があれば、この論文の予測は信頼できないかもしれないと述べている[2]。

私が調べた範囲ではこの問いに対する答えは必ずしも明確ではなかった。以下の図(図3)は新型感染症と類似するとされるSARSについてのものだが、新型感染症と同じく冬に発生していて、7月にはWHOが封じ込めを宣言している。これは対策が功を奏したためかもしれないし、感染すべき人々がおおむね感染して社会的な免疫ができたためかもしれないが、もしかしたら夏が来たためかもしれない。1つの事例だけだと何ともいいがたい。SARSの蔓延をきっかけとして感染症が夏に減るかどうかをレビューした研究は見つけたのだが、夏に減ることの理由が説明できないとするなど、必ずしも結論が明確でない[6]。SARSについて気温が上がったり湿度が増えたりすると感染が減ったと推定する研究もあるが、この研究を引用した論文数が少なく、どこまで信用していいかがよく分からない[7]。ちなみに、コロナウイルス感染症であるMERSについては季節性がないという研究があるが[8]、これもあまり引用されていない。その一方で、風邪の原因の1つとして人間に日常的に感染する4種類のコロナウイルスについては冬に多く発見されることがいくつかの研究で示されていた [9, 10]。

図3:SARSの毎日の発生件数の推計(2002年11月1日から2003年7月10日まで)
図3:SARSの毎日の発生件数の推計(2002年11月1日から2003年7月10日まで)

新型肺炎と呼ばれるように、新型感染症は肺炎を引き起こすことがあるので、肺炎について調べてみた。肺炎の季節性についてはいくつか研究があり、例えば台湾の研究では、肺炎による入院には季節性があり、夏に少なく冬に多いとされている[11]。自分でも何か調べられないかと思って、厚生労働省の人口動態統計月報のデータを集めて日本の場合についてチェックしてみた。肺炎による月ごとの死亡者数が出ているので、2010年から2018年までの各月の1日当たり平均値を見た。厳密な分析にはほど遠いが、図4にあるとおり、平均的には、1月をピークとして7月がボトムになるようだ。他の死因についてもチェックして気づいたのだが、実際には呼吸器系疾患だけでなく、循環器疾患など多くの死因について冬から夏にかけて減っていく傾向がある[12]。

図4:日本における肺炎による死亡者数の各月の1日当たり平均値
図4:日本における肺炎による死亡者数の各月の1日当たり平均値
(出典)人口動態統計月報の2010年から2018年まで
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これらの情報を踏まえると、新型感染症自体が夏に向けて少なくなる可能性があること、また、仮に少なくならなくても、肺炎を含めた他の重大疾患に向けられるべき医療資源が夏にかけて減っていく可能性があることから、水際対策を行ったり、国内において人と人との接触を極力防いだりすることによって、日本国内における流行を遅らせることは意味がありそうだ。

(3)新型感染症が疑われたら医療機関に行くべきか?

インフルエンザについて、私の勤める経済産業研究所では、インフルエンザの罹患が疑われる場合には速やかに医療機関を受診するように指導されている。仮にこれと同じことを新型感染症が疑われた時に行うと、院内感染によって感染がリスクの高い高齢者などに広まって大変なことになる恐れがある。インフルエンザではタミフルなどの治療薬があるが、新型感染症では現時点でははっきりとした治療薬がない。インフルエンザにおいてさえ、例えば米国のCDCのHPでは家で休養することが基本となっていて、日本のようにいきなり医療機関を受診すべきとはなっていない。

新型感染症が日本で流行する場合には、インフルエンザを先例とせずに、重症患者だけ医療機関を受診するような対応が必要になるかもしれない。似たような指摘はNEJM報告の著者も行っており、インフルエンザ等で医療機関のリソースが不足していることが背景にある[1]。家で休養するだけで大丈夫なのかなどの情報は時間とともに蓄積されると思うので、そうした情報を踏まえた対応策の決定が必要になる。

4.終わりに

最後にいくつかの一般論に触れておきたい。1つはエビデンスを尊重する態度の重要性である。今回のような緊急事態では不確実の中でやみくもに動かざるを得ない、エビデンスなんて役に立たないと私は思っていたが、意外なことに、LANCETやNEJMといった一流の医学誌が速やかに関係論文を掲載して、少しずつ足元を固めて不確実性を減らしており、これらの論文を踏まえながら世界中の関係者が対策を検討している。不確実な中でも、どこに根拠があるのか、その根拠が信頼に足るものかを問いながら進んでいくことは重要なように思える。例えばフェイスマスクの感染症予防効果には強いエビデンスがないので[13]、不足してもパニックになる必要はない。手洗いの励行や人との接触を避けることの方が重要である。

2つめに、情報は日々アップデートされるので、間違いに寛容であることが求められる。本稿が依拠した論文も後世から見たら間違っていたりミスリーディングだったりすることがあるかもしれないが、その時点でのベストなエビデンスであり、責められるべきではないだろう。また、新しい情報に触れることによって政策立案者などのスタンスが変わっていくこともあるかもしれないが、それは「ぶれている」というより「臨機応変」である。逆に政府関係者は間違っていたときは素直に間違いを認めることが大切だと思う。

最後に、国会やマスコミが大騒ぎするとかえって対策が進まなくなることには留意する必要がある。政府の対応は完璧なものではないし、時として後追い的になるかもしれないが、これは人間の性であり、誰でもある話だ。私自身は誰かから怒られたり責められたりしたら憂うつな気持ちになってパフォーマンスが下がる。政府関係者を責めたり怒鳴りつけたりしたらうまくやるだろうと思ったら大間違いだ。行政官も人間だ。国会対応やマスコミ対応に負われれば疲れて働けなくなる。今回のような緊急で重要な事態の際には政府やそこで働く人々を信頼する姿勢も必要ではないだろうか。

(追記)
2月5日付けのAnnals of Internal Medicineという医学誌に、新型感染症が今後どうなるかについてのシミュレーションが載っている[14]。この論文ではいろいろなケースを想定して読者が自分でシミュレーションを行えるようにもなっている。このシミュレーションの一番下にEffective reproductive number with controlという表示があり、対策を講じることによって達成される再生産数について、いろいろな数値を自分で入れることができる。これによって、取り組みを通じて再生産数を減らすことによって、後々で大きなメリットが生じることがビジュアルにわかる。水際対策と国内対策(手洗いの励行や人との接触を減らすことなど)のいずれについても、今の取り組みがとても大切だ。

参考文献
  1. Rothe, C., et al., Transmission of 2019-nCoV Infection from an Asymptomatic Contact in Germany. New England Journal of Medicine, 2020.
  2. Wu, J.T., K. Leung, and G.M. Leung, Nowcasting and forecasting the potential domestic and international spread of the 2019-nCoV outbreak originating in Wuhan, China: a modelling study. The Lancet, 2020.
  3. Holland, P.W., Statistics and Causal Inference. Journal of the American Statistical Association, 1986. 81(396): p. 945-960.
  4. Bootsma, M.C.J. and N.M. Ferguson, The effect of public health measures on the 1918 influenza pandemic in U.S. cities. Proceedings of the National Academy of Sciences, 2007. 104(18): p. 7588-7593.
  5. Short, K.R., K. Kedzierska, and C.E. van de Sandt, Back to the Future: Lessons Learned From the 1918 Influenza Pandemic. Front Cell Infect Microbiol, 2018. 8: p. 343.
  6. Dowell, S.F. and M.S. Ho, Seasonality of infectious diseases and severe acute respiratory syndrome–what we don't know can hurt us. The Lancet Infectious Diseases, 2004. 4(11): p. 704-708.
  7. Bi, P., J. Wang, and J.E. Hiller, Weather: driving force behind the transmission of severe acute respiratory syndrome in China? Intern Med J, 2007. 37(8): p. 550-4.
  8. Al-Tawfiq, J.A. and Z.A. Memish, Lack of seasonal variation of Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus (MERS-CoV) . Travel Medicine and Infectious Disease, 2019. 27: p. 125-126.
  9. Matoba, Y., et al., Detection of the Human Coronavirus 229E, HKU1, NL63, and OC43 between 2010 and 2013 in Yamagata, Japan. Japanese Journal of Infectious Diseases, 2015. 68(2): p. 138-141.
  10. Gaunt, E.R., et al., Epidemiology and clinical presentations of the four human coronaviruses 229E, HKU1, NL63, and OC43 detected over 3 years using a novel multiplex real-time PCR method. J Clin Microbiol, 2010. 48(8): p. 2940-7.
  11. Murdoch, K.M., et al., What is the seasonal distribution of community acquired pneumonia over time? A systematic review. Australasian Emergency Nursing Journal, 2014. 17(1): p. 30-42.
  12. Nakaji, S., et al., Seasonal changes in mortality rates from main causes of death in Japan. European Journal of Epidemiology, 2004. 19(10): p. 905-913.
  13. MacIntyre, C.R. and A.A. Chughtai, Facemasks for the prevention of infection in healthcare and community settings. BMJ : British Medical Journal, 2015. 350: p. h694.
  14. Tuite, A.R. and D.N. Fisman, Reporting, Epidemic Growth, and Reproduction Numbers for the 2019 Novel Coronavirus (2019-nCoV) Epidemic. Annals of Internal Medicine, 2020.

2020年2月7日掲載

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